きものACTメールマガジン【西陣の香Vol.12】


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〜西陣の香〜Vol.12                  発行日2004/08/02
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暑中お見舞い申し上げます

こんにちは、きものACT主催 中西 康一朗です。

前回に引き続き、織物のことについて書いてみました。
私の文章は、いつも長いですが、お許しくださいませ^^

こんなの知ってるよ〜と思った貴女^^どうか、ご教授くださいませ<(__)>ぺこり
この業界、入ってまだ、1年とちょっと。。。まだまだ知らないことばかりです(笑)
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★目次
  ・先染め織物と後染め織物
  ・貴重な絹
  ・お客様ご感想
  ・編集後記
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☆先染め織物と後染め織物☆

きものACTによく寄せられる質問に、
「この反物は、先染めですか?後染めですか?」
というのがあります。

みなさん、よくご存知だと思うのですが、
・先染め織物=生糸を精錬し、染色した糸を使って織り上げるのが先染め織物

・後染め織物=生糸を織り上げ、反物の状態で精錬し、染色、色彩加工するもの、
または、糸を先練(さきねり)し、織りあがった白生地に染色加工するもの

だと考えています。(間違っていたら、ご指摘下さいね<(__)>ぺこり)


「精錬」とか聞きなれない方もいらっしゃるかと思いますが、他のサイトでも多々
紹介されています。復習のつもりで、書きますと

絹糸は、中核をなすフィブロインとその周りを覆うセリシンというたんぱく質
で出来ております。その外側のセリシンを石鹸や炭酸ナトリウムの薄い溶液で煮沸し、
取り除く工程を「精錬」といいます。

そうすることによって、美しく光沢のある絹糸が出来あがります。

その後、製作する生地の用途により、漂白や染色などがなされ、機織へと移行するわけです。。
<参考までに>-----------------------------------------
蚕(かいこ)が繭(まゆ)を作り、その繭5〜6個から一本の生糸を繰り出します。

つまり、生糸1本=繭(5〜6個)糸を束ねたものになります。
製作する生糸の種類によっては、繭(7〜8個)を使用する場合もあります。
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先染めの場合、この工程で、生糸を染色します。
言わば、色糸を使って織物を織り上げるわけですね。

また、白生地の場合は、漂白された生糸を使って白い生地が織り上げられます。
その白生地に、後から有名な作家さんなどが色をつけるわけです。

後染めに関しては、私、ほとんど無知なので{他のことも無知かも(笑)}あまり書けませんが、

生地を織り上げてから、後で精錬、染色する場合もあるそうです。(専門外)

先染め、後染めの違いって、わかりましたか?

染色する過程が、糸の状態か、反物の状態か、の違いだと私、個人考えてるのですが、
もし、もっとわかりやすいご説明できるかたいらっしゃったら、ご教授くださいませ^^

ちなみに、銘仙は、先染め織物ですよ〜^^
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☆貴重な絹☆

みなさんの周りには、いろんな繊維製品があるとおもいます。
その中で、絹製品って何がありますか?
そういう私も、探してみましたが、なかなかありません(笑)
ネクタイの上等なものくらいかな〜。。。あとは、きもの。。。

なぜ、絹って価値があるんでしょうか?ちょっとお勉強です^^

シルクロードという名前があるように、
昔からシルク=絹は高価なものとして取引、交換されてきました。

そのわけは、「衣・食・住」の衣の部分です。
昔、衣服の原料として使われていたのは、天然繊維だけでした。

天然繊維というのは、絹、麻、綿、羊毛などをいいますが、自然に存在する繊維材料です。

植物性のものは、麻、綿
動物性のものは、羊毛など  です。

ここで、問題!

なぜ、天然繊維として麻や綿、羊毛などがあるのに、絹だけ別格なのでしょうか?


答えは、フィラメント!      

正確には、フィラメント糸というのですが、数百メートルの長さの繊維を糸にしたものをいいます。

綿、麻、羊毛というのは、比較的短い繊維を紡いで長い糸にした紡績糸なのです。(短繊維)

織物の工程上、短い糸では、織物は出来あがりません。
(1反で13m前後必要ですから×20反とかになると=260m:×30反=400m近く必要です)

ところが、絹だけは、それだけで長い糸になるのです(長繊維)。
(1d(デニール)とは、9000m(標準長)で1g(基準質量)の重さのある生糸の太さを表します)


ただ、簡単に長い糸ができるというだけで貴重とはいえませんよね。
それにプラスアルファー、絹糸だけがもつ、美しい光沢、しなやかな肌触りなどが加わり、
世界各地の時の権力者が着用するような装飾的なもの、
価値の高いもの、貴重なものとなっていったのだと思います。

そうすると、考えますよね。「絹のようなものは、他にはないのか?」と。。。

残念ながら、自然界には存在しません。ならつくればよい。

で、作られたのが、化学繊維です。

みなさん、よくご存知の、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ビニロンなどが有名ですが、
どれも、「絹」を目標に化学的に作られました。当時は、「人造絹糸」と呼ばれていたそうです。

その発明は、たいしたものだ、と私思いますが、やはり、本物の絹にはかなわないと思います。

呉服業界でよく聞きますが、「合繊のきものは、あつい」。。。?
実際、私、着た事ないので感想は言えません<(__)>ぺこり
おそらく、化学の進歩によって、絹とかわらない着心地の合繊のきものも存在するのかもしれません。
着た事のある方いらっしゃったら、ご連絡下さい(着心地の感想など・・・)


ですが、造れるものと生産が少なくなってきているものを比較した場合、

やはり、年々、生産高が減ってきている、絹、を選んで欲しいと思います。
国内の養蚕農家の減少、また、世界の養蚕業界の生産高の減少を危惧されている方は
思っている以上に多いようです。

その点、絹は、貴重だと言わざるを得ません。

最後に、絹の中でも、2種類あることを言っておかなければなりません。

正絹(しょうけん)と絹紡(けんぼう)です。

・正絹とは、先にご説明したフィラメント糸(長繊維)を使った絹糸のこと
・絹紡とは、短い絹糸(切れてしまった糸)を紡績によって長くした絹糸のことです。

当然、価格的には、正絹糸>絹紡糸 になりますが、
肌さわりや特徴など、絹紡糸にも良いところがあります。
私の感想ですが、絹紡糸が使われた反物は、正絹糸が使われた反物より
やわらかい、しなやか、ふんわり、という感じがしました。
逆に、正絹糸が使われた反物は、シャキっとした感じでした。(他店物色中の感想(笑)

あくまで私の感想ですので、お好みによって選択していただくのが一番だと思います。
もちろん、直に触っていただいた方が良いと思います。

西陣の業界では、正絹、絹紡、と区別され使用されておりますが、
小売の段階で、いろいろな名前がつけられている場合もありますので、ご注意を^^

最近よくきく、「本絹」ってなんだろ?と思い、繊維技術センターの先生に聞いて見ました。
返ってきた答えは、やはり、「なんだろな?いろいろ工夫して販売してるんだろな、実際聞いてみたら?」
という答えでした(笑)

繊維技術センター、というのは、繊維鑑定や織物のことを教えてくれる学校みたいなところです。
私も、昨年から今年はじめにかけて、通わせていただきましたが、いろいろ勉強になりました。
詳しくは、http://www.ktri.city.kyoto.jp/sikenjo.html
結構、いろんなことがわかって面白いですよ^^

と、本絹ってなんでしょうかね?正絹=本絹のことなんでしょうか?
ま、うちは、元来の「正絹」でいきましょ^^

それと、呉服屋さんに行ったとき、店員さんに聞いて見て下さい。
「これって、正絹ですか?」ってね^^

「はい、正絹です。」って言ったら、「正絹と絹紡の違いって何?」って聞いてみてください。
ちゃんと答えられる店員さんがいれば、幸いです。

それと、正絹と絹紡のそれぞれの反物が置いてあったら、触りごこちを比べてみてください。
貴女が実際触って、どっちがいいのか?できれば、感想もお寄せ頂ければ幸いです^^v

ちなみに、きものACT掲載商品は、正絹100%です^^
絹紡糸使用の反物掲載の場合は、しっかり明記いたしますね。
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今回の西陣の香を読んで、貴女はどう思われましたか?
貴女の貴重なご意見をぜひお寄せください。

kou@kimono-act.com または
http://www.kimono-act.com/act-customer-support.htm
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☆お客様のご感想☆
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いつも思うのですが、中西さんのメルマガはお客さんととても距離が近い感じであったかい。
ビジネスっぽくなくていいですね。なおかついろいろ勉強になるし。。。いつも楽しみです。
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U.K.様
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ありがとうございます。ビジネスっぽく書いているつもりなんですが、所詮素人なのかな〜。。。
でも、この業界はいってまだ知らないことだらけですので、「西陣の香」読者の皆様と一緒に勉強していけたら、
というような思いで書いてます^^そんなところがビジネスっぽくなくなるのかな?と思います。
商品情報半分、お役立ち情報半分、そんな感じで続けていきたいと思います^^

これからも応援よろしくお願い致します<(__)>ぺコリ
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中西様
 西陣の香、興味深く読ませていただきました。織りは数学みたいですね。
勉強になりました。着付け教室のみなさんにもお知らせしようと思います。
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M.M.様
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ありがとうございます。実際、数学みたいですね^^私も、昔は理系でしたので
少しはやれると思っておりましたが、上級の組織になるにつれ、これまた、難しい。。。
多重組織、二重織、とか、うわ〜ってかんじで、順番追っていかないと、わからなくなります^^
なんとかやっていかないと。。。(汗)がんばろ^^
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〜編集後記〜

今回は、先染め、後染め、貴重な絹、と書きましたが、共通するところがあります。
それは、本物、という点です。
先染めも後染めも織物に変わりはありません。
先染めは、織り上がりを想像しながら、糸を染色し、選んで織り上げるので、やはり、難しいです。
少し、違う色でも違ったものができあがりますし、ロットが違えば、違うということもままあります。
また、後染めは、染色の作家さんの技がものをいうところであり、
どちらも熟練した匠でないと出来あがりません。

本物をお手ごろな価格でお出ししはじめて、一年ちょっと。
この間、いろいろ怒られました(笑)
ですが、お客様が喜んで着て下さるなら、それにこしたことはない、と思ってます。
他の店にいけば、似たようなものがあるかもしれませんが、
きものACTの品は、普通に買えば、どれも10万円前後、
またはそれ以上の価値は保証致します。(ショール関係は別ね^^)

なお、掲載時点で底値ですので、1点物が多いです。
高くなることはあっても、もっと安くなることはありません。(早い者勝ちです)

スペシャルカスタマーの意味がなくなりつつある今日この頃です。(考え中。。。)

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西陣の香へのご意見、ご感想などありましたら、こちらへ kou@kimono-act.com

発行責任者:西陣の香(中西 康一朗) http://www.kimono-act.com/

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