織物 三原組織


 ★★ 織物 三原組織 ★★

きものや布地は基本的にある一定の法則で織り上げられております。
その法則というのが、組織というわけです。

そこで、まずは、初歩の組織、三原組織について書きます。

三原組織とは、平織、斜文織、朱子織  のことです。

同じ糸でこの三種類の組織を使ってそれぞれ織った場合、
生地を生成する組織が違うため、出来あがった生地も
風合いが微妙に違ってきます。

では、どんな組織なのか、以下に書いてみました。
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 ★★ 平 織 ★★

一番簡単な組織で、縦糸と横糸が交互に交差する組織です。

     ―|  
   |―   (それぞれ縦糸と横糸だと思ってください^^)

   □■
   ■□  (組織図:意匠紙など方眼紙に書く場合の図です)
(■:経糸が上に出ている時、□:横糸が上に出ている時 だと思ってください)

基本は、この形です。わかりにくいので、大きくしてみました。(以下)

 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■
 |―|―|―|―|―|―|―|―  ■□■□■□■□■□■□■□■□
 ―|―|―|―|―|―|―|―|  □■□■□■□■□■□■□■□■

平織は、織物の原型ともいうべき、組織です。銘仙もそうですね^^

 ★★ 斜文 織(あや織) ★★

平織を少し発展させた形の組織です。
平織りは、縦横1本づつ(縦糸1本+横糸1本)で交互に交差していましたが、
これは、縦糸/横糸あわせて3本づつ以上で組織されます。

経糸/横糸あわせて3本の場合(縦糸2本+横糸1本)
(2本置いといて、交差、これの繰り返しですね)

   |―||―|
   ―||―||
   ||―||―
   |―||―|
   ―||―||
   ||―||―    ←(それぞれ縦糸と横糸だと思ってください^^)

     上
    ■□■■□■
    □■■□■■
    ■■□■■□
    ■□■■□■
    □■■□■■
   左■■□■■□右   ←組織図はこんな感じになります。

これは、3枚斜文 
(経糸/横糸あわせて2本+1本、もしくは、1本+2本で組織される)
といいますが、
■の方が多いですよね。
■は経糸が上に表れている時ですから、 たて斜文 といいます。

逆に、□が多いとき(横糸が多く表れているとき)は、 よこ斜文 といいます。

さて、この生地を、裏返してみましょう。

      上 
    □■□□■□
    □□■□□■
    ■□□■□□
    □■□□■□
    □□■□□■
   右■□□■□□左

裏返すと、経糸■と横糸□の表れ方が逆になりますよね。^^(斜紋も逆)
こんどは、□(横糸)が多く表れています。
こっちが表だとこれを よこ斜文 といいます。

つまり、表と裏で経糸と横糸の表れ方が異なるものを、片面斜文といいます。


じゃあ、表と裏が同じ表れ方をするのは?という疑問がおこります^^
平織りの場合は、もちろん表裏同じですが、

斜文で表裏、同じ表れ方(縦糸と横糸の数が同数)をするのは、両面斜文 といいます。
ただし、
斜(ななめ)文というんですから、必ずしも同じではありません。
表が右上がりなら裏は左上がりというように
斜文の表れ方は逆になります。


では、両面斜文というとどんなものか?
平織なら表裏同数の経糸/横糸が表れますが、斜文の場合は。。。?

そうです、4枚斜文 です。

経糸/横糸あわせて4本(2本+2本)で組織されるもので、

  | ― ― | | ― ― | 
  ― ― | | ― ― | | 
  ― | | ― ― | | ― 
  | | ― ― | | ― ―
  | ― ― | | ― ― | 
  ― ― | | ― ― | | 
  ― | | ― ― | | ―
  | | ― ― | | ― ―


       上
    ■□□■■□□■
    □□■■□□■■
    □■■□□■■□
    ■■□□■■□□
    ■□□■■□□■
    □□■■□□■■
    □■■□□■■□
   左■■□□■■□□右    ←組織図はこんな感じになります。

裏返すと

      上
    □■■□□■■□
    □□■■□□■■
    ■□□■■□□■
    ■■□□■■□□
    □■■□□■■□
    □□■■□□■■
    ■□□■■□□■
   右■■□□■■□□左

斜文が逆になりますが、縦糸/横糸は同数です。

ここで、ご注意、両面斜文=4枚斜文か?というと、そうではありません。

確かに、両面斜文は、4枚斜文なんですが、
4枚斜文というのは、縦糸/横糸あわせて4本使った組織です。
ですから、3本+1本、または、1本+3本 のときもあるからです。

  ■■□■■■□■   □■□□□■□□
  ■□■■■□■■   □□■□□□■□
  □■■■□■■■   □□□■□□□■
  ■■■□■■■□   ■□□□■□□□
  ■■□■■■□■   □■□□□■□□
  ■□■■■□■■   □□■□□□■□
  □■■■□■■■   □□□■□□□■
  ■■■□■■■□   ■□□□■□□□

  3本+1本の場合 / 1本+3本の場合

わかりますか?このふたつ、表裏逆にした形なんですよ^^
これを見ると、両面斜文ではなく、片面斜文ですよね。

この他にも5枚、8枚斜文とありますが、またの機会に。


  ■□■■■■□■  □□■■■□□■
  □■■■■□■■  □■■■□□■■
  ■■■■□■■■  ■■■□□■■■
  ■■■□■■■■  ■■□□■■■□
  ■■□■■■■□  ■□□■■■□□
  ■□■■■■□■  □□■■■□□■
  □■■■■□■■  □■■■□□■■
  ■■■■□■■■  ■■■□□■■■

   5枚斜文の例です(4+1/3+2)


 ★★ 朱子 織 ★★

さて、朱子(しゅす)織ですが、
基本は、縦糸/横糸あわせて5本以上で作られた組織です。

ただし、それだと5本以上で作られた斜文織と変わりませんよね。
違うところは、3点!!

1、交差点(■または、□:縦糸/横糸が表に出ているところ)が隣り合わないんです。

2、一定の間隔で飛び飛びになっているんです。

(ここが違う注意点:平織や斜文織の場合は、■または、□がとなりあっていたり、
きれいな斜めになっていましたよね。)

3、飛び数の法則「組織を作る糸数を公約数を持たない2つの数字に分けて、それぞれを飛び数にする」

です。

なんだか難しそうなので、大変ですが。。。やってみると簡単です^^

たとえば、縦糸、横糸あわせて5本で作るとします。

3、飛び数の法則により、「組織を作る糸数」=5本を「公約数を持たない2つの数字に分けて」みましょう。

5=1+4     ⇒  5=1+4 × (4は2で割れますからダメです)
5=2+3     ⇒  5=2+3 ○
5=3+2     ⇒  5=3+2 ○
5=4+1     ⇒  5=4+1 × (4は2で割れますからダメです)

こんなかんじになりますか?

ここで、公約数を持たない数というと、5=2+3、もしくは3+2になりますね^^
4は2で割れますから^^ダメです

ですので、2と3が飛び数になります。

それでは、作ってみましょう。

と、ここで、もひとつご注意!!

朱子の組織の決まり事は先の3点ですが、
実際、組織図にするときにはこんな感じで作ると作りやすいです。

・左下を必ず起点にする
・朱子の場合、上に2個いったら、その右となりに印をつける。(2飛び)
(上に2個いったら、というのは、2飛びの場合です。3個いったら(3飛び)だから^^)
この繰り返しです。(上までいったら、下に戻って数える)

     ||―||   ■■□■■    2→起
     ||||―   ■■■■□    1   2→起
    2|―|||   ■□■■■  2→起   1
    1|||―|   ■■■□■  1   2→起
    起―||||   □■■■■  起   1

    上に2飛び、右に3飛びの朱子 です。

では、3個(3飛び)の場合は

     |||―|   ■■■□■    1 3→起
    3|―|||   ■□■■■  3→起 2
    2||||―   ■■■■□  2   1 3→起
    1||―||   ■■□■■  1 3→起 2
    起―||||   □■■■■  起 2   1

    上に3飛び、右に2飛びの朱子 です。

こんな感じに印をつけるとわかりやすいですね。
(起:というのは、起点で印をつけるところです。)

以上のものを 5枚朱子 といいます。

この他にも、先に述べた法則に従って朱子の組織を作ることができますが、
オーソドックスなのは、5枚朱子と8枚朱子になります。

8枚朱子の場合は、「飛び数の法則」からすると3飛び、5飛びになります。
8=3+5(2+6、4+4は割れるからダメ)

   ■■■■■□■■     ■■■□■■■■
   ■■□■■■■■     ■■■■■■□■
   ■■■■■■■□     ■□■■■■■■
   ■■■■□■■■     ■■■■□■■■
   ■□■■■■■■     ■■■■■■■□
   ■■■■■■□■     ■■□■■■■■
   ■■■□■■■■     ■■■■■□■■
   □■■■■■■■     □■■■■■■■
  3飛びの8枚朱子です / 5飛びの8枚朱子です




以上、このような3種類の組織が原則で、織物を構成する基礎となっております。

平織は、丈夫なので衣類などに最も多く用いられておりますし、
斜文織(あや織)は、平織りよりは柔軟に富み、しわが寄りにくい性質を
また、朱子織は、さらに柔軟性を持ち、光沢に富む性質を持っております。

それぞれの組織によって用途は様々ですが、これを基本として、
もっと難しい組織に応用され、きものはもちろん衣類も作られております。

組織ひとつとってみても、この難しさ^^

少し、復習のつもりで書き記してみましたが、
もし、ここは間違ってるよ〜とご教授してくださる方、
いらっしゃいましたら、ご連絡ください。