〜西陣の香〜Vol.19より抜粋 <ジャガードについてPart4> <前回までのおさらい> 機装置を縦方向に見てみると、下から 矢金、ヘルドなどの綜絖、目板を通って、 それを吊り下げる通糸から竜頭でまとまるかま数、 さらに首糸からジャガードの縦針に繋がります。 詳しい図を書いてみました。 見てくださいね^^ さて、今回は、なぜ縦針が横針に押されるかです。 まずは、以下の図をご覧ください。 これは、縦針と横針、そして横針に影響を与えるシリンダの関係の図です。 解説しますと、一越(ひとこし:横糸が一回通ること)毎に 直方体のシリンダが90度ずつ回転します。 この回転運動と同時に、 ガチャン、ガチャン。。。。と横針のほうに数ミリ単位で シリンダ自身が左右に押し付ける運動を起こすわけです。 図では、 一回右側に押し付け、左に離れた際、90度回転し、 再び右側に押し付ける、という運動を繰り返します。 シリンダは、このような直方体のものです。 下は、紋紙ですが、シリンダの一面とほぼ同じ大きさです。 シリンダの穴は、一面だけしか入れていませんが、4面とも開いております。 また、穴の数などは、この図の限りではなく、あくまでイメージです。 このシリンダに紋紙と呼ばれる、 織物の柄やどの横糸を通すかなどの情報が掘り込まれたものが ピッタリ合わさります。 シリンダの一面で紋紙一枚、 つまり、90度シリンダが回転するごとに、紋紙が変わります。 先程、一越毎にシリンダが90度回転する、と書きましたが、 紋紙一枚で一越(横糸が一回通ること)ということと同じ意味です。 織物の柄(紋の丈)が長いと、 それだけ紋紙の数が必要なことがここでもわかりますよね。 下図は、シリンダを真横から見た時の運動の様子 シリンダには、4面とも無数の穴が開いていることは、先程書きましたが、 シリンダに合わさる紋紙にも、一枚ずつ違った穴が開けられています。 ここが重要! 穴が開けられているところ A と 開けられていないところ B。 シリンダが横に押す運動をした時、 A:紋紙の穴が開けられているところの横針は、紋紙を通って シリンダの穴に入り込みます。 横針は動かず、横針と連動するはずの縦針も横方向には、押されません。 B:一方、紋紙の穴が開けられていないところの横針は、手前の紋紙にあたり、 さらに横方向の運動が伝わり、縦針をも押し込みます。 AとBでどう違うのか? それは、ジャガード上方のナイフ(棒刀)に関わってきます。 |
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上部 拡大図 |
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シリンダは、紋紙を介して横針に影響を与えましたが、 ナイフ(棒刀)は縦針を上下させるのに使われます。 (*ナイフというのは、物を切るナイフではなく、 縦針を引っ掛けるものです。) 先程のAとBで違うのが良くわかると思います。 つまり、縦針が上がると、それに吊られている縦糸も上がります。 縦針が上がらないと、吊られている縦糸も上がりません。 縦糸が上がっているところと上がっていないところ、 そこに横糸が通り、また次の一越で上げ下げが変わります。 横糸が一回通る(一越)毎に、 シリンダが90度回転し、紋紙を一枚ずつ入れ替え、 それに影響された横針が、縦針を押し、 ナイフ(棒刀)で引っ掛け、 縦針に吊られている縦糸を上げ下げしているというわけです。 以上で、「ジャガードについて」、縦方向の運動の解説を終わります。 いかがでしたでしょうか。 解説しようとすればするほど、奥深いものであるため、 簡潔に書いてきましたが、だいたいこんな感じで装置が動いているんだ、 ということをわかっていただければと考えております。 ここが間違っているぞ〜という先輩方、お教えお待ちしております<(_ _)> また、ここをもっと教えて欲しい、という方もご連絡お待ちしております。 私のわかる範囲ですが。。。(笑) 何千という縦糸を上げ下げするのに、 どういう装置、仕組みで成り立っているのか? 私も最初は「へえ〜」と感嘆の声をもらしました。 また、 この各部の運動が、すべて連動して行われているところに、 すばらしい技術を感じます。 あくまで、アナログですが、 「からくり」の仕組みのすばらしさがそこにあると思います。 ちょっとした狂いが生じれば、 織物にすぐに跳ね返ってくる装置ですが、 それを扱う各職人の技術や苦労、 またそれによって出来上がる織物のすばらしさにもため息が出るばかりです。 大昔のアニメに、 コンピュータから出てくる穴の開いた紙があったのを覚えていますか? 無造作にダダダ〜と出て来る様子が描かれておりましたが、 あれも、きっと織物の紋紙などに影響されているのでしょうね。(笑) |